老年期障がいの作業療法

【対象は?】
高齢期(65歳以上を指します)に脳血管障害、認知症、パーキンソン病などの疾患を抱えた方たちや、運動ができないことなどを原因として動きが弱ってしまった方(廃用症候群)が対象となります。

【どんなことを行うのですか】
各疾患、症状に共通する目的は、対象者の“日常生活”の自立や安定を目指すことにあります(日常生活とは食事、服の着替え、トイレ、入浴、買い物、外出などを指します)。 また、病気の症状がなくても、疾病予防の一環として作業療法は行われます。作業を通して、余暇活動の充実を図ることで、その人らしい生き方の実現を目指します・
細かい目的や作業療法の方法については、疾患や症状によって異なってきますので3つ例を挙げてみます。

例1。認知症で徘徊が頻繁となり、落ち着かない。

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A.認知症は物忘れの病気ですが、感情や心は生きています。
そのため、多くの認知症の方は日々の生活の中で「財布はどこになおしただろうか?」「A子は(亡くなった奥さんは)どこにいるだろうか…」などとなにかしらの不安を抱えています。

どうにか気持ちに折り合いをつけて生活を送っているうちはいいのですが、急激な環境の変化(入院など)や強いストレスにより気持ちに折り合いがつけられなくなると徘徊や暴力などの認知症症状がでることがあります。
作業療法ではこのように認知症の方が抱えている不安の原因をとらえたうえで、ストレスを可能な限り取り除き、なじみのある作業(昔趣味でやっていた編み物や工作など)や気晴らしや運動を兼ねたレクリエーションをしてもらうことで、不安の軽減、精神の安定を図っていきます。

例2.仕事を辞めたことを契機に家に閉じこもり、元気もなくなってきた。

4A.仕事を辞めたことに限らず、何らかの喪失体験はその後の人生に大きく影響を及ぼします。
作業療法では、その人にとって意味のある活動を一緒に考え、その活動を通して自己実現や生活の質(QOL)の向上を目指します。
その人にとって意味のある活動は、多岐にわたるため一口には言えませんが、その人の個性や生き方を尊重し仕事、趣味、日課などから考えていきます。

 

【老年期障がいの作業療法はどこでやっているのですか?】

医療機関では、身体障がい分野の病院や診療所で行われており、認知症の方へは認知症専門病棟で治療やケアの一環として作業療法が提供されています。
介護保険関連の機関では介護老人保健施設、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)で行われています。
それ以外では、住み慣れたご自宅で生活しながら利用する通所リハビリテーション(デイケア)、通所介護(デイサービス)、訪問リハビリテーションでも作業療法は行われています。